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2024/03/20 16:49


ondeは「身に着けるジュエリーのヒストリーを知る」をテーマに真珠や鉱石の産地、生産者の顔や暮らしを伝え、手元のジュエリーの旅路を知ることで、世代を超えて後世に繋いでいきたくなるジュエリー(Pass the baton the next) を目指しています。ondeではジュエリーのヒストリーを皆さんにお伝えするために、さまざまな「ジュエリーの裏側」をデザイナーRinaが自身の言葉でお伝えしていきます。


第一回目である今回のテーマは「真珠」。中でも宇和島で取れる真珠について、皆さんに少しでも知っていただけたらと思います。




ondeはイタリア語で「波」。そんなondeでは海からの贈り物、とも言われる真珠を使った商品を多く取り扱っています。

今日は真珠の3大産地の1つである愛媛県「宇和島」生まれの真珠について、ご紹介していきます。


宇和島が位置する宇和海は、リアス式海岸に美しい海が特徴です。それによって深い入江が海面を穏やかに保つことができるため、真珠養殖に最適な環境が整っていると言われています。宇和島では主にアコヤ真珠が養殖されています。白色やクリーム色のアコヤ真珠も綺麗ですが、ondeではグレーがかったアコヤ真珠にデザイナーが一目惚れして、こちらの色味のものを多く仕入れています。

クラシカルな印象からは少し離れて、カジュアルにも上品にも使用できる雰囲気がとても気に入っています。




最近はカジュアル使いも増え、身近になりつつある真珠ですが、「海からの贈り物」と言われる通り、海が大切に育んでくれた自然界の奇跡だと思っています。養殖真珠に関しても、最初の核入れを職人さんが丁寧に行ってから2年という歳月をかけて海中で育まれ、今皆さんの手元に届いています。

核入れも現地で拝見させていただきましたが、とても手間がかかる仕事でまさに熟練の技がなすもの。

また生き物である貝に核を入れる作業自体は、貝にできる限り負担がかからないようにスピーディーな作業もポイントになります。

お邪魔した養殖業者さんの中には、貝への感謝の想いも込めて「貝の供養」をされている業者さんもいらっしゃいました。

私自身、とてもたくさんのことを考えさせられました。




しかし、この真珠の養殖ですが、さまざまな課題に直面していると、実際に現地の養殖業者さんから伺いました。

まずは養殖の担い手不足の問題。熟練の技術が必要とされ、重労働であるにも関わらず賃金が低いなどの関係から担い手の育成が追いついていないと仰っていました。真珠養殖の技術が認められ、適正な賃金設定がされ、そして魅力的な仕事として次世代に引き継がれていく。そういった環境を業界全体で作る必要があるのでは、と私自身は考えています。そして2つ目が、海洋汚染の問題です。アコヤ貝が新種のウイルスに感染し、母貝や稚貝の大量死が発生しています。原因ははっきりとはわかっていませんが、海洋汚染の影響も大きいのではないかと言われています。

貝が年月をかけて育んでくれる真珠をこれからも大切にするためにも、私たちはただ貝からプレゼントをもらい続ける、ある種「搾取」するだけではなく、その貝が生き生きと育つことができる海の保護を考える必要があるのではないか。そう強く、課題意識を持っています。



残念ながら、ただ美しいだけではないのがジュエリー。

美しいものを扱うからには、その裏側も知り、知ったからには気づき・行動する。



そんな気づきをondeのジュエリーを通じてお届けできることができたら、と思いますしondeとしても海洋保護の支援の形を考え、行動し続けたいと考えています。



宇和島の土居真珠さんで直接仕入れさせていただいたあこや真珠を使用した商品は、こちらから是非ご覧ください。

*こちらの商品は、銀座三越1Fで開催するポップアップ(5/1-5/7)でもお手に取っていただけます。




次回は、都市鉱山生まれのジュエリーと言われる「リファインメタルジュエリー」について、お届けします。ぜひ楽しみにしていてください。



ondeデザイナー・Rina